著者: ピーター・アムステルダム
11月 4, 2025
私たちは、神への愛をどのように表せばいいのでしょうか。また、十字架上のイエスの犠牲によって神の御国に生まれ、神の子としていただいた私たちが、それにどのように応えることを、神は求めておられるのでしょうか。イエスはルカの福音書で、「心をつくし、精神をつくし、力をつくし、思いをつくして、主なるあなたの神を愛せよ」と言われました(ルカ10:27)。
その状況に関するマタイの記録では、ある律法学者(旧約聖書の律法の専門家)がイエスを試そうとして、「先生、律法の中で、どのいましめがいちばん大切なのですか」と質問しています。イエスはこう答えられました。「『心をつくし、精神をつくし、思いをつくして、主なるあなたの神を愛せよ。』 これがいちばん大切な、第一のいましめである。第二もこれと同様である、『自分を愛するようにあなたの隣り人を愛せよ。』 これらの二つのいましめに、律法全体と預言者とが、かかっている」(マタイ22:36–40)。
イエスがここで引用している、心と精神(魂)と思いをつくして神を愛せよという戒めは、申命記6章5節にあり、神への全面的な献身の概念を簡潔にまとめたものです。同じ出来事を記したルカとマルコの福音書には、神を愛することの別の側面を示す、「力をつくして」という言葉が加えられています(マルコ12:30)。
イエスは、「これらの二つのいましめ」(神と隣人を愛すること)に「律法全体と預言者とが、かかっている」と強調されました。マルコの記録では、律法学者が次のように答えています。
「先生、仰せのとおりです、…『心をつくし、知恵をつくし、力をつくして神を愛し、また自分を愛するように隣り人を愛する』ということは、すべての燔祭や犠牲よりも、はるかに大事なことです。」
イエスは、この律法学者が賢明に答えたのを見て、「あなたは神の国から遠くない」と言われました(マルコ12:32–34)。
心、精神、思い、力、知恵をつくして主を愛するとはどういうことか、そして、人生と存在のあらゆる側面を通して神への愛を表すという点において、どうすれば成長できるかを見ていきましょう。それは、神との関係から始まります。以下の抜粋記事が強調するように、その関係は私たちにとって最も親しく密接な関係であるべきです。
神は、私たちが自分の全存在をもって、可能な限りあらゆる方法で神を愛することを望んでおられます。神ご自身の御子が、全身全霊で父なる神を愛すべきだと私たちに教え、それがすべての戒めの中で一番大切な第一のものだと言われました(マタイ22:37–38)。神は、私たちが他のあらゆるものや存在以上に、神を愛することを望んでおられます。生ぬるく、中途半端で、無感情な好意では不十分です。神が求めておられるのは、全面的な献身なのです。… 神は、私たちと親しい愛の関係を持つことを望んでおられます。神が私たちを愛してくださったので、それに応じて、私たちも神を愛するのです(1ヨハネ4:19 新共同訳)。…
聖書において、神をどのように愛すべきかをもっとも純粋な形で示す例の一つは、主の足に香油を注いだ、名前も記されていない女性の話でしょう(ルカ7:36–50)。彼女は、キリストが自分の多くの罪を赦してくださったことにとても感謝していたので、惜しみない賛美と絶対的な献身をもって愛を注ぎ出しました。この女性は救い主の真の価値を悟り、謙虚な感謝と犠牲と服従の心で、自分の涙と髪と口づけ、そして高価な香油をもって、イエスを愛し礼拝しました。彼女は、自分の存在と持てるもののすべてを捧げて、神を愛したのです。—Got Questions [1]
私たちのすべてをもって
クリスチャンとして、私たちは自分のすべてをもって、つまり、心と精神と思いと力をつくして、神を愛すべきです。豊かで、深く、あふれるほどの愛が求められています。自分のすべてをかけて主を愛そうという愛です。私たちは、神との親密な個人的関係を持つよう招かれています。神ご自身が関係的なお方であるため、私たちとの関係を求めておられるのです。
エデンの園で神がアダムとエバとの間に持っておられた美しい関係は、彼らが罪を選んだゆえに損なわれました。神は神聖であられるので、罪がこの世に入り込んだ後では、もはや人間との間に以前と同じ個人的な関係を持つことはできなくなったのです。そこで、神は、罪によって引き裂かれた関係を修復し、私たちがご自身との関係を再び持てるようにしたいと願われました。
神は私たちとの関係を持つことにそれほどの情熱を抱いておられるので、神ご自身と人類との間にできた溝を埋めるため、ひとり子であるイエスを送り、十字架上でその命を犠牲にするようにされました(ヨハネ3:16)。それほども私たちを愛しておられるのです。私たちに対する大きな愛ゆえに、積極的に私たちとの関係を持とうとされています。そして私たちも、神との関係を持つことに対して、同じ情熱を抱くよう求められています。聖句にあるように、「わたしたちが神を愛するのは、神がまずわたしたちを愛してくださったからです」(1ヨハネ4:19 英語NKJV訳)。
神は私たちに抱いている深い愛を伝えるために、聖書で、私たちと神が結婚しているという言い方や比喩を使っておられます。たとえば、こう言われました。「あなたを造られた者はあなたの夫であって、その名は万軍の主」(イザヤ54:5)。また、「花婿が花嫁を喜ぶように、あなたの神はあなたを喜ばれる」(イザヤ62:5)。これらの比喩は、神が私たち一人ひとりと持ちたいと願っておられる、心と思いと精神の情熱的な絆を表しています。
神を愛するなら、神と近くなりたい(ヤコブ4:8)、神との深い関係を築きたい、そして、その関係を強め、神に似た者となっていくための努力をしたい、という願いを抱くようになります。そのために、私たちは祈りと賛美と礼拝を通して頻繁に主と交わり、御言葉を読んで学び、主の御心と御言葉の原則に従って人生を送ることにコミットします。そして、心と精神と思いと力をつくして、主への愛を深めようと努めます。以下の抜粋記事は、それが何を意味し、どのようなものであるかについての洞察を与えてくれます。
心をつくして
私たちを創造された方が、私たちとの交わりを望んでおられる、それは宇宙でもっとも驚くべき真理です。神は、あなたを愛するためにあなたを造られたのであり、あなたが神を愛し返すことを切望しておられます。こう言われました。「いけにえはいらない。わたしを愛してほしいのだ。ささげ物もいらない。わたしを知ってほしいのだ」(ホセア6:6 リビングバイブル)。この聖句から、あなたに対する神の情熱を感じ取れるでしょうか。
神はあなたを深く愛しており、あなたからも愛されることを願っておられます。あなたが神を知り、神と時を過ごすことを切望しておられます。だからこそ、神を愛し、神に愛されるのを学ぶことが、人生の最大の目的であるべきなのです。それほど重要なものなど、他にありません。イエスはそれを、「一番大切な戒め」と呼ばれました。…
神はあなたのすべてを欲しておられます。あなたの人生の一部分だけを望んでおられるのではありません。あなたの心と精神と思いと力のすべてを求めておられます。神は、中途半端な献身、部分的な従順、余り物の時間やお金には関心がありません。あなたの完全な献身を望んでおられます。… あなたの誠実で真実な愛を望んでおられます。… それは、神の驚くべき愛と憐れみに対する、ごく自然な応答なのです。—リック・ウォレン [2]
精神(魂)と力をつくして
精神をつくして神を愛するとは、どういう意味でしょうか。ヘブル語で、「精神(魂)」は「ネフェシュ」です。「精神」「魂」の他に、「命」も意味します。言い換えるなら、私たちは人生のすべての瞬間に神を愛するべきだということです。さらに、神のためには自分の命を捧げるほどに、神を愛すべきだという概念も含まれています。週に一日だけ神を愛するのでは、まったく十分ではありません。イェシュア(イエス)は、私たちの魂を愛する方であり、私たちのために命を捧げるほどに愛してくださいました。神は、私たちが救われるように、ご自身のひとり子を犠牲にするほど、この世(すべての魂)を愛してくださいました。私たちは多く赦されたので、多く愛することができるのです(参照: ルカ7:47 新共同訳)。神の恵みにより、私たちが命をつくして神を愛する者となれますように。神は私たちの命です(申命記30:20a 新改訳2017)。
力([ヘブル語で]メオド)をつくして神を愛するとは、私たちにあるすべてをもって愛することであり、この上ないほど十分に愛することです。ここでの「メオド」は、主に対して、最上級の度合いで全面的に献身することを強調していると言われています。—ジェイミー・ラッシュ [3]
思いをつくして
思いをつくして神を愛するとは、知性をもって神を愛することであり、決意と献身をもって神を愛することです。イエスに敵対したパリサイ人や宗教指導者たちは、そうしていませんでした。言葉と儀式では神を愛していましたが、全存在をもって愛することはしていなかったのです。もし彼らが思いをつくして神を愛していたなら、自分の人生において神を何よりも優先し、全面的に神に従っていたことでしょう。
別の箇所で、イエスは弟子たちにかなりはっきりと、こう言われました。「もしあなたがたがわたしを愛するならば、わたしのいましめを守るべきである」(ヨハネ14:15)。従うことには、「思い」の決断が必要です。それは、決意です。… あなたの思いのギアが入り、動き出す準備ができているなら、そして、思いをつくして神を愛しているなら、主を愛する他のすべてのかたちもうまく収まっていくのです。—マイケル・ヨセフ [4]
弟子としての歩みの中心にあるのは、神の言葉にある原則に従って生き方を整えたいと思うほど、心の底から神を愛することであり、その結果、私たちは神の戒めを守るようになります。私たちは、イエスに倣い、よりイエスに似た者になりたいと願っています。神に栄光が与えられるような生き方、御言葉の知識に基づいた生き方、主が常に私たちの内にいますことを認め、主の絶えざる臨在に敬意を払う生き方をしたいのです。
主は、「わたしについてきなさい(従ってきなさい)」と言うとき、私たちに、主を最優先とすることを選び、すべての人の最高主権者である神との関係において自分を正しい位置に置くほどに、主を愛することを求めておられます。私たちは、主の愛を人生の中心に据え、その愛の内を歩み、その愛を他者と分かち合うという決断をします。簡潔に言えば、私たちは主に喜ばれる生き方を目指しているのです。
ヨハネの第一の手紙には、こうあります。
そして、願い求めるものは、なんでもいただけるのである。それは、わたしたちが神の戒めを守り、みこころにかなうことを、行っているからである。その戒めというのは、神の子イエス・キリストの御名を信じ、わたしたちに命じられたように、互に愛し合うべきことである。神の戒めを守る人は、神におり、神もまたその人にいます (1ヨハネ3:22–24)。
私たちの内にあるすべてをもって神を愛し、神とその御言葉に従うという原則を理解することで、私たちが日常的に人生の決断を下さなければならないとき、導きが与えられます。私たちの創造主、救い主、私たちの内に宿る御霊である神が、私たちの愛と、人生における第一の場所を求めておられる、そして、それを受けるに値されるということ、それが基本原則なのです。これが弟子としての歩みの出発点であり、神を愛することが弟子としての生活の中心にあります。私たちのために命を捧げてくださったキリストへの愛は、心をつくして熱心に主を愛して礼拝し、主との親しい関係を育むよう、私たちに強く迫り、私たちを駆り立て、導き、促します(2コリント5:14)。
噛みしめるべき言葉
「心をつくして神を愛する」とは、愛情、思考、行動を含む全存在を神に捧げ、神の御心を最優先し、何よりもまず神を喜ばせようと努めることです。—C・S・ルイス
神を愛する人は、神のことを思い、神のために生き、神を慕い求め、神について語るのをやめることなどできません。目にする生き物すべての心に、イエスの聖なる御名を刻みたいと願うものです。—フランシスコ・サレジオ
最も重要な戒めは … 他のどんなものよりも神とその御国を尊ぶことです。それが、心と精神と思いと力をつくして神を愛するということです。神を尊び、神と神のものを大切にし、神が御旨を成し遂げられるよう擁護し補助することを意味しているのです。—ダラス・ウィラード
聖書は何と言っているか
「もしだれでもわたしを愛するならば、わたしの言葉を守るであろう。そして、わたしの父はその人を愛し、また、わたしたちはその人のところに行って、その人と一緒に住むであろう」(ヨハネ14:23)。
「あなたは、あなたの神、主だけが神であることをよく知らなければならない。主は信頼すべき神であり、ご自分を愛し、ご自分の命令を守る者には恵み[愛]の契約を千代までも守られる」(申命記7:9 新改訳2017)。
「わたしは確信する。死も生も、天使も支配者も、現在のものも将来のものも、力あるものも、高いものも深いものも、その他どんな被造物も、わたしたちの主キリスト・イエスにおける神の愛から、わたしたちを引き離すことはできないのである」(ローマ8:38–39)。
神の愛への感謝の祈り
神さま、あなたの御子イエス・キリストという、驚くべき贈り物を与えてくださったことに、心から感謝を捧げます。この無私の犠牲の御業は、私が受けるに値しないものだと分かっています。それなのに、主は私たちを罪から救うために、自ら進んでその身を捧げてくださいました。… 詩篇106篇1節の言葉を口にせずにいられません。「主をほめたたえよ。主に感謝せよ、主は恵みふかく、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。」 あなたの変わらぬいつくしみは、いつも私を驚かせるし、私はあなたの尽きることのない恵みと憐れみに、永遠に感謝しています。神さま、私はあなたの愛の輝きを一身に浴びています。イエスを賜ってくださり、ありがとうございます。あなたの変わらぬ愛に感謝します。私たちに与えてくださった祝福すべてに感謝します。[5]
1 “What does the Bible say about how to love God?” GotQuestions.org, https://www.gotquestions.org/how-to-love-God.html
2 Rick Warren, The Purpose-Driven Life: What on Earth Am I Here For ? (Zondervan, 2012).
3 Jamie Lash, “You Shall Love,” Jewish Jewels, February 1, 2022, https://www.jewishjewels.org/news-letters/you-shall-love/.
4 Dr. Michael Youssef, “Loving God with All Your Mind,” Leading the Way, May 2, 2023, https://ca.ltw.org/read/my-devotional/loving-god-with-all-your-mind/.
5 Everlasting Winter, “Rejoicing in God's Love: A Prayer of Gratitude,” December 26, 2023, https://www.talkjesus.com/threads/rejoicing-in-gods-love-a-prayer-of-gratitude.79690/.
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