5つの法則:時間管理

著者: ピーター・アムステルダム

6月 23, 2015

June 23, 2015

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「生涯がどんなに短いものか、私たちに気づかせ、知恵ある心を得させてください。」 [1]

昔から言われているように、時間というものは決して取り戻すことのできないものです。それで、聖書は「今の時を生かして用いる」こと、つまり「時間を最大限に活用する」ことについて語っているのです。[2] 私たち一人ひとりがどれだけの間この地上にいるのかは、わかりません。ですから、時を賢く用いるべきなのです。それには、時間管理のスキルを身につけようという強い決意が必要になります。毎日のように、数え切れないほどの邪魔が入るし、どうしてもやらなければならないこと、注意を散漫にさせるものが生じるからです。

やることリストは到底終えることができないほど長いというのに、私たちはついつい時間を浪費してしまいます。あわただしさの渦に飲み込まれて一日が過ぎたけれど、気づいてみたら、やるつもりだったことができていないというのは、よくあることです。極めて重要な仕事なのに、それがとても困難なものだと、後回しにしようという誘惑が募ります。要するに、終始一貫して時間を賢く使うことや、一番大切なことを成し遂げること、仕事の面でもプライベート面でも山ほどの責任や課題をバランス良くこなすための時間を見つけることは、かなりの努力を要するものであり、私たちはそういった困難に毎日直面しているのです。

時間管理のキーワードは数多くあり、そのうちの2つを挙げたいと思います。それは、「能率と効果」です。能率と効果とでは大きな違いがあり、それをジェフ・ヘイデンはこのように説明しています。

「能率的な人はきちんと秩序だっていて、有能な人である。やることリストにある項目を次々と完了させる。プロジェクトを完了し、物事をやり遂げる。

効果を上げる人も、それらのことはすべてやるが、彼らはやることリストにある適切な物事をやる。適切なプロジェクトを完了し、適切な物事をやり遂げる。」[3]

これは、今から扱う時間管理に関する5つの基本的なポイント全体に共通して考えるべきことです。能率を上げるのは素晴らしいことですが、効果を上げるという要素が欠けているなら、おそらくゴールに達したり、最も重要な物事を成し遂げたりすることはできないでしょう。ですから、全般的に、私たちは自分たちの行動すべてにおいてもっと効果を上げることについて見ていかなければなりません。効果を上げるべきことには、決断の仕方、優先順序の決め方、賢い時間管理の習慣を実践することが含まれます。

以上の前置きをしたところで、時間管理という分野における5つの重要ポイントを見ていきましょう。

1. 自分ひとりで全部はできないと認め、優先順序を決める。

時間管理に関する本の多くは、リストにあること全部を完了できるように、すべきことを整理したりスケジュールを立てたりする方法を教えようとしますが、そのアプローチは非現実的でしょう。全部をやろうとすると、くたくたになって燃え尽きる危険を冒すことになり、それは絶対に逆効果です。

ジェフ・ヘイデンは、それをうまく言い表しています。「全部をやることはできないが、一部のことをとてもうまくやることはできる。何が自分にとって一番大切かを決めて、それに集中しなさい。…そして、やりたいけれども、現実的に言って、少なくとも今の時点ではできないことはあきらめるようにしなさい。」[4]

第一にすべきなのは、自分で全部をやることはできないと認めることです。つまり、あることはあきらめ、ある要請は断り、あるプロジェクトは却下したりして、やることリストを削らなければなりません。一番大切なことをやり終えるには、優先順序を決めて、そこに一番の関心と時間を当てなければなりません。

パレートの法則について聞いたことがある人もいると思います。これは80:20の法則とも呼ばれるもので、時間管理の基礎です。「やることリストを見て、そこにある全部が同じだけ重要と見るなら、仕事の質よりも、タスクの量のほうに圧倒されてしまうだろう。しかし、考えてみなさい。パレートの法則は、成果の8割はタスクの2割が生み出しているとしている。つまり、毎日の仕事の小さな部分に、大半の関心を当てるだけの価値があるということだ。」[5]

すべてのことが同じだけ大切なのではありません。あなたのところに来ることすべてに、関心を当てるべきではありません。やることの2割が成果の8割を生むとしたら、あなたはこのフィルターを通してタスクの重要性を見るべきなのです。

2. すべきこと、すべきでないことを明確に知る。

本当にやるべきことを完了したいとしたら、最初の一歩は、現在自分が何に時間を使っているのか、また何に時間を費やすべきなのかをじっくり検討することです。つまりライフプラン全体を見て、主要ゴールと、自分が何を目指しているのかを明確に知るということです。最初はそれにかなりの時間をかけることが必要かもしれません。これは、毎日、毎週、毎月のゴールやプランを立てる時の基本プランとなるからです。

普通は、その年の主要ゴールを特定するのが良いでしょう。あなたが焦点を当てることになるカテゴリーです。おそらく、仕事関連のカテゴリーを幾つかと、プライベート面でのカテゴリーを幾つか特定することになるでしょう。焦点となる分野をたくさん選びすぎてはいけません。そんなことをすると、おそらく全部はこなしきれないでしょう。毎日、毎週、毎月のペースで時間を割り当てていく際に、それらの焦点カテゴリーのひとつに集中して手をかけるといいでしょう。そうすると、毎日の行動が、仕事面での全体的なゴールやライフゴールに沿ったものになります。

例えば、あなたがビジネスを営んでいて、もっと集客をしなければならないとします。そして、毎日何に時間を使っているのかを見た時に、各仕事日の内ある一定の時間をブロックして、その時間を新規の顧客獲得に当てたほうがいいとわかるかもしれません。たとえば、ある日はその時間にコミュニティービジネスの会議に出て、また別の日は紹介された会社に何本か電話をかけるといった具合です。真剣に新規の顧客がほしいなら、毎日、そのゴールに達するための時間をとるべきです。あなたの目標が9ヶ月の教育コースを修了することだとしたら、そういった学習面でのゴールにも同じ法則が当てはまります。たとえば、子供が寝た後に毎晩コースの勉強をする時間を取るという手もあるでしょう。その他の主要ゴールについても同様です。

これから何をするのか、いつやるのかについて、紙面やコンピューター上で計画を練る時には、明確な期日や時間を記入すると、成功率がぐんと上がることが研究でわかっています。そういった計画は前日に立てるのがベストです。生産性に関する専門家であるブライアン・トレーシーは、こう語っています。「前の晩[あるいはその日の仕事が終わった時に]リストを書けば、寝ている間も潜在意識下でその計画やゴールに働きかけるよう刺激を受けます。目が覚めると、難題に取り組むための気持ちの準備ができているのです。」[6]

ベンジャミン・フランクリンはこう言いました。「物事の準備をしそこなうなら、物事をしそこなう準備をしているのと同じだ。」 また、このような名言もあります。「計画のない目標は、ただの願い事にすぎない。」[7]

何に取り組むべきかを知ることが大切であるのと同様に、何をやるべきでないかを知ることも大切です。これを「無視することリスト」と呼ぶ人もいます。あなたのところに来るタスクの中で、たとえ自分ではそれをやりたくても手につけてはいけないタイプのものを特定して書き留めることは助けになります。私たちの時間は限られているので、時間に関して慎重にならなければいけません。

3. 何が時間の浪費と注意散漫の原因になっているかを突き止める。

時間管理の優れた技能を身につけたいなら、自分が何に足をすくわれがちかを知る必要があります。テクノロジーのおかげで利用できるようになった、時間の浪費や注意散漫の原因となるものは言うまでもなく、他にも毎日毎日、たくさんの邪魔が入ります。あなたは何に時間を浪費しますか? フェイスブックですか? それともテレビ? YouTube? 一日中SNSの動きを追っているのですか? コンピュータゲーム? それとも料理番組? スポーツの試合やスコアを追っていますか? あるいは気の向くままにネットサーフィンをしていますか? セレブのニュースですか? そういった具合に、他にもいろいろあることでしょう。

これらすべてに共通しているものとは、じつに不可思議な方法であなたの貴重な時間を奪い取る能力があることです。多くの専門家は、時間がどこに使われたかがわかるように、そのようなアクティビティに週どれぐらい時間を使ったかを記録するよう勧めています。こういったタイプのアクティビティは多くの時間をとるし、依存性があるので、時間管理のスキルを改善したければ、それにどれだけの時間を使っているかを見てみるのが賢明でしょう。それから、それに使う時間を減らしたり制限したりするための計画を立てるのです。さらには、すべきことに完全に集中できるよう、様々なデバイスの電源を一定時間切っておくことを考慮してもいいでしょう。

このようなアクティビティやテクノロジーが悪いとか、間違っているとかいうのではありません。役立つ使い道がある物も多く、余暇に楽しめるものもあることでしょう。それに、くつろぐ時間も必要です。ですが、どの程度の時間をそのようなアクティビティに割きたいのかを決めなければなりません。 それが責任ある時間管理です。ゴール達成を真剣にとらえているなら、これらのことは普通、かなり削られることになるでしょうし、ことによるとすっかりやめることもあるでしょう。そういったアクティビティはライフゴールに向けて集中する時間を削ってしまうことをふまえた上で、自分がどれだけの時間をそれにかけているかを知っておきましょう。

4. タスクを記録して整理する方法を見つける。

自分にとってうまくいく整理システムを見つける必要があります。ここで肝心なのは、「自分にとってうまくいく」かどうかです。世間には、山のように溜まったEメールを管理したり、タスクを更新したり色分けしたり、考えられる限りのあらゆるフォーマットでプロジェクトを表示したりできる、凝った管理システムがたくさん出ています。それがあなたにとってうまくいくなら、素晴らしいことです。しかし残念なことに、整理システムの管理や調整にかなりの時間をかけてしまう人たちもいて、そうなると優先すべき仕事の時間が奪われてしまいます。

やることリストについても同様です。もしあなたのやることリストが何ページもあって、毎日そのリストに新しい項目を付け加えているなら、たぶん、この統計も信じるに難くはないでしょう。23%の人は、タスクに取り組むよりも、やることリストを整理する方にもっと多くの時間をかけているのです。ここで覚えているべきなのは、今あるものに目をやりつつ、システムはできる限りシンプルにとどめること。そして何よりも、自分にとってうまくいく方法をとることです。他の人がしていることや、最新の流行や、人気のあることにとらわれてはいけません。自分にぴったり合うものが見つかるまで、トライし続けるのです。

どのシステムを取り入れ、セットアップするにせよ、それはあなたのタスクを記録して見落とされているものがないことを確実にできるものであるべきです。つまり、やるべきことや覚えておくべきこと、先々手がけなければならないことが持ち上がったなら、その情報を記録しておくための必ずうまく行く方法があるべきなのです。いつもノートを持ち歩いて、何かあるたびにメモをとってもいいでしょう。あるいは、携帯にメモしてコンピューターと同期させれば、何をすべきかが一目でわかります。普通は、タスクを分類するのにさらに整理の段階がいくつか必要になりますが、何よりも大切なこととは、メモをとったり、何らかの方法で記録したりして、あとで忘れないようにすることです。いったんリストができれば、先ほども言いましたが、主要ゴールに基づいて優先順序を決めることができます。

アイテムを処理していくたびに、リストに完了のチェックをつけます。リストは常に更新しておきましょう。今の進捗状況や、やるべきことを知る助けになります。リストから、やるべきではないことを削除していきます。リストはちょくちょく見直して、見落としている項目がないようにし、毎晩、翌日の予定を組む時にリストに目を通します。

生産性についての最も標準的なルールの一つは、最初に一番大切な仕事をすることです。元気いっぱいで頭も冴えている時間帯に、リストの一番上にあるもの(多くのとき、これは一番困難な物事)に取り組みましょう。[8] そうすれば、より多くを達成するばかりか、最優先の仕事を片付けたことで気分も爽快になり、残りのタスクに取り組むための活力も得られるでしょう。

5. 自分の限度を超えた無理をせず、現実的になる。

これは多くの人にとって難しいことです。私たちは同僚や友達の要請に応えたいからです。助けになりたいし、四方八方で助けが必要とされているので、なかなか、断りづらいものです。しかし現実的にいって、1日は24時間しかないし、どんなに頑張っても、夕暮れまでに全部片付けるのは無理です。

神が私たちに毎日与えられた時間には、限りがあります。そして、どれほど多くを達成したくても、またどれだけ他の人を助けたいと心から思っていても、現実的に達成できることは限られています。能力以上の荷を負ったり、無理な約束をしたりしないよう、気をつけましょう。そんなことをするとものすごいストレスがかかり、すべきことが果たせなくなり、最後には精神的に参ってしまうでしょう。いろいろな研究によると、最後までやり通す人とは、プロジェクトの課題や範囲、期間について現実的な考え方をする人だそうです。[9]

皆で協力しあって、プロジェクトにかかる時間や、もう一つのタスクを請け負えるか、期日までに実行できるかについて、現実的に捉えましょう。すでに抱えている責務を知っておきましょう。やることリストをよく管理しておけば、それがわかるはずです。そして最終的に、必要とあれば断りましょう。難しいことですが、長い目で見れば、あなたにとって負担となりすぎるタスクを断ることは、重要な仕事のクオリティーを保ち、集中力を持続させ、ディスカッションやクリエイティブな問題解決法などに貢献できるだけフレッシュでいるための能力を守ってくれるのです。

ここに、より短い時間で多くを成し遂げられるよう、生産性を最大限に伸ばす秘訣をさらにいくつか紹介しましょう。

私はジョン・マックスウェルの素晴らしい記事を読んだのですが、それは、人生のゴールや方向性という全体像と併せて、毎分、毎時間、毎日を管理する上でのバランスをみごとに捉えています。その一部分を皆さんに読みましょう。

時計とコンパスをつなげる

「時は人を待たず。そんな言葉を聞いたことがあると思います。その言葉の通りです。時は進み続け、それについていくかどうかは私たち次第なのです。私たちは時計を意識している必要があります。そうでないと、ゴールに向けて進歩することなど、ちっともできないでしょう。しかし、私は成功とはゴールに到達する以上のものだと思っています。真の成功は意義深さから生じます。何か違いをもたらすようなことをするのです。私たちがいなくなっても残る何かを。

自分のしていることが実際に何らかの違いをもたらすものかどうかは、どうやってわかるのでしょう? 時計を見るだけではわかりません。コンパスを意識しなければならないのです。…つまり、毎日のフォーカスを、長期的な方向感覚に統合する必要があるということです。そうすることで、より良い視点が得られます。

時計:この人生で、時計は常に時を刻んでいます。時は過ぎゆき、私たちはチャンスを生かすか、逃すかのどちらかです。ですから、時計のことを念頭に置くことが大切です。しかし、意義深い人生を生きたいなら、それだけでは足りません。

コンパス:人生の舵をとるのに使うのが、コンパスです。コンパスは常に同じ方角を指します。自分が行くべきだとわかっている方角に行く先を合わせるのは賢明なことです。しかし、コンパスと同じ方角を見ても、それだけで、動き出さなければ、何の達成もありません。

時計は日常的な事柄、私たちがやっていることをあらわします。コンパスは宿命に関する事柄、私たちがどこに向かっているかをあらわします。時計はアポイントメントやアクティビティを扱い、コンパスはビジョンや価値観、ミッションを指し示します。時計とコンパスが合わされば、私たちには動機と方向性が提供されます。両者のバランスをとるなら、私たちは、その努力を複合させることで、この世界に最大の価値を増し加えることができるのです。

ですから、次に1日、1週間、1年の計画を立てる時には、時計とコンパスの両方を意識してみましょう。そして、それでどれだけの成果が上がるか、みてみるのです。」[10]

では、ここで触れた時間管理の5つのポイントを復習しましょう。

  1. 自分ひとりで全部はできないと認め、優先順序を決める。
  2. すべきこと、すべきでないことを明確に知る。
  3. 何が時間の浪費と注意散漫の原因になっているかを突き止める。
  4. タスクを記録して整理する方法を見つける。
  5. 自分の限度を超えた無理をせず、現実的になる。

時間管理の目的は、単により多くを成し遂げることではないと覚えておくのは非常に大切です。重要なことをうまくやるのが目的なのです。良き時間管理は、人生のあらゆる面にポジティブな効果を与えます。家族や気にかけている人、ビジネス、霊的生活、コミュニティーへの奉仕、健康、大切な人間関係など、最も大切なことに時間をあてられるようになります。それはあなたに充実感をもたらすでしょう。完成したという満足感を経験するからです。賢く時間を管理する者として、あなたはおのずと、数多くのチャンスを受け取ることになるでしょう。なぜなら、人々はあなたがあてになり信頼できる人、首尾一貫して事を行う人だとわかるので、あなたと共に働きたいと思うようになるからです。

最後に、この心に迫る言葉で終えたいと思います。「時間は貴重です。時間があるといっても、所有してはいません。時間を費やすけれど、とっておくことはできません。いったんなくなれば、取り戻すことはできません。だから、賢く使いなさい!」


1 詩篇 90:12.[英語NLT訳より]

2 エペソ 5:16.

3 Jeff Haden, “9 Habits That Turn Efficient People Into Highly Effective People,” Inc., October 6, 2014.

4 Jeff Haden, “Success? It’s Just a Decision Away,” CBS Moneywatch, October 19, 2011.

5 Lea McLeod, “The Job Skill You Need (That Nobody Talks About)”, The Muse, September 7, 2014.

6 Brian Tracy, “How to Squeeze the Most Out of Your Time,” GetMotivation.

7 アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ

8 Trent Hamm, “Do the Hard Things First,” The Simple Dollar, Sept. 17, 2014.

9 Heidi Grant Halvorson, “Be an Optimist Without Being a Fool,” HBR, May 2, 2011.

10 John C. Maxwell, “Connecting the Clock and the Compass,” Leadership Wired, February 7, 2014.

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