「そのすべての核心にあるもの」シリーズの用語解説

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贖い(あがない)【Propitiation】

罪の贖い、または贖いの犠牲(あがないの供え物)。具体的には、キリストがその死によって神の裁きを鎮め、神の好意を得たことの影響・結果を指す。[29]

 

異端(いたん)【Heresy】

宗教団体や教会内で、正統的とされる見解に反する意見や教義。[18]

 

エキュメニカル【Ecumenical】

全キリスト教会の。[15]

[注:実際の使用例では、「公会議(ecumenical council)」や「エキュメニカル運動・世界教会一致運動(ecumenical movement)」などのように訳されます。また、この言葉がキリスト教と関係なく使われる場合は、「全世界的な、普遍的な」という意味です]

 

カトリック【Catholic】

1. キリスト教信者全体、特に、ギリシャ正教会すなわち東方教会と、ラテン教会すなわち西方教会に分裂する前の、キリスト教信者全体を指す。(このシリーズでは、こちらの使い方をするほうが多い)[注:この使い方をする際、日本語では公同、普遍とも訳されます]

2. ローマ・カトリック教会を指す。[6]

 

神【Godhead】

キリスト教の神で、特に三位一体としての神。[17]

 

擬人化(ぎじんか)【Anthropomorphism】

神々や動物、事物に対して、人間と同様の性質や振る舞いを与える方法。[2]

 

教義(きょうぎ)【Doctrine】

[注:これは日本語の「教義」の定義ではなく、英語の「doctrine」の定義です]

宗教的、政治的、または哲学的集団の信念、あるいは、一連の教えが、支持や信仰のためにまとめられたもの[注:それぞれ日本語では、教義(宗教)、政策・ドクトリン(政治)、主義・理論(哲学)など]。ドグマ。[14]

 

教父(きょうふ)【Church Fathers】

初期にキリスト教の教義を著した著述家。キリスト教の教義や慣習を規定した、8世紀以前のキリスト教神学者。[7]

 

啓蒙時代(けいもうじだい)【Age of Enlightenment】

[欧米において]西洋哲学や思想、科学、文化の面で、信頼性や権威の主な拠り所として理性が提唱された時代で、18世紀を中心とする。「理性の時代」とも呼ばれる。啓蒙思想は、観念体系というよりは、価値体系である。その中核をなすものは、伝統的制度や慣習、モラルを批判的に捉えることであり、また、合理性と科学を固く信じる事であった。[1]

 

契約(けいやく)【Covenant】

神学用語として:神とその民の間になされる、お互いへの義務を果たす関係をもたらす合意。[9]

 

顕現(けんげん)、神の【Theophany】

(英語のTheophanyは、ギリシャ語のtheophaneia [神の現れ]より) 神が、知覚できる(感覚器官で認知できる)形態で現れること。この言葉は、一般的に、古代ギリシャや近東の宗教における神々の現れについて使われてきたが、それとは別に、聖書の記述に関しては、特別な神学的使用がなされるようになった。旧約聖書では、神は人間の姿で現れたり、自然災害、燃える柴、雲、そよ風の中で現れたりしている。旧約聖書における神の顕現は、実際の歴史的出来事、または象徴的な意味を含む予言的ビジョンとして述べられている。[34]

 

現象学(げんしょうがく)【Phenomenology】

現象に関する学問。[27]

 

自存性(じそんせい)【Aseity】

他のいかなるものも必要とせずに、独立して存在すること。(英語のaseityは、a [から] + se [自分] からなる中期ラテン語のaseitasを語源とする)[4]

 

自由主義神学(じゆうしゅぎしんがく)【Liberal Theology】

自由主義神学とも呼ばれるキリスト教リベラリズムは、18世紀の終わり以来キリスト教界に生まれた多種多様な宗教運動や思想を包括する言葉である。リベラルなキリスト教、という時の「リベラル」とは、進歩主義の政治思想や信条のことではなく、啓蒙時代に発展した哲学的・宗教的思想に関係した思想や信条を指す。

 

受肉(じゅにく)【Incarnation】

三位一体の第二位格が、イエス・キリストという形で人間の姿をとった、また、まったく神であり人である、という教義。肉体を意味するラテン語「carnem」を語源とする。受肉とは、イエスが人の肉体をまとった神であることを意味する。[21]

 

神学(しんがく)【Theology】

神や神の属性、宇宙との関係を扱う研究・分析分野。神聖なものや宗教的真理の研究。[33]

 

信条(しんじょう)【Creed】

キリスト教の教理が簡潔にまとめられた公式な成文箇条であり、使徒信条、ニカイア信条、アタナシウス信条などがある。[10]

 

神性(しんせい)【Deity】

1. 神(々)、特に至高の存在(Supreme Being:普通は単に「神」と訳される)の性質、本質。神格。

2. [注:これは日本語の「神性」の定義ではなく、英語の「deity」の定義のひとつです] 神。至高の存在。[12]

 

正統(せいとう)【Orthodox】

初代教会によって確立されたキリスト教の教義と一致していること。[25]

 

存在論(そんざいろん)【Ontology】

形而上学[特定のテーマや研究の基礎をなす原理体系]の一分野で、存在の本質を扱う。[24]

 

ダイコトミー(二分法・にぶんほう)【Dichotomy】

反対あるいは完全に異なるものであるか、そう表される2つのものを、区別または対比させること。[13]

 

多神教(たしんきょう)【Polytheism】

複数の神を崇拝、あるいは信仰する宗教。[28]

 

助け主(たすけぬし)【Paraclete】

キリスト教用語としては、聖霊を指す。

 

転嫁(てんか)【Impute】

1. (特に不正行為や不名誉行為を)他人のせいにすること、他人に負わせること。

2. 神学用語として(帰負[きふ]とも言う):(正義や罪を)他の人に代わりに負わせること。例:キリストの義が人間に移ること。[20]

 

汎神論(はんしんろん)【Pantheism】

形而上学的、宗教的な見解。広く次のように定義される。(1) 「神はすべて、すべては神。・・・・世界は神と同一であるか、あるいは、何らかの形で神の神性を自己表現するものである。」(Owen 1971: 74) 似た見解として (2) 万物は、「統一」を構成しており、この包括的な統一は、ある意味で神である。(MacIntyre 1967: 34) それよりも幾分狭い定義はオウエンによるもので(Owen 1971: 65) (3) 「汎神論とは・・・・万物はただ一つの存在であり、その他すべての実在形態は、その一つの存在の様態(現れ)あるいはそれと同一であると信じることを意味する。[26]

 

プロテスタント【Protestant】

キリスト教を大きく三つに分けた内の一つに属するクリスチャン(他の二つは、ローマ・カトリック教会と東方正教会)。プロテスタント(protestant)は、ルネサンスの時代に、既成教会(ローマ・カトリック教会)に対する抗議(protest)として始まった。マルチン・ルターが導いた抗議は宗教改革と呼ばれたが、それは、教会を改革し、免罪符の売買といった腐敗から清めようという願望に由来していたからである。[31]

 

弁証学(べんしょうがく)または弁証論(べんしょうろん)【Apologetics】

キリスト教弁証学は、キリスト教神学の一分野であり、その目的は、キリスト教信仰の論理的根拠を示し、信仰への非難について弁明をし、他の世界観に見られる欠点を証明することである。ギリシャ語で「弁明」を意味する法律用語、アポロジア(apologia)に由来する。[3]

 

冒涜(ぼうとく)【Blasphemy】

直接的に神を侮辱する言葉という意味で使われることが最も多い。聖書では、列王記上21:10、サムエル下12:14、詩篇74:18、イザヤ52:5、ローマ2:24にその例が見られる。それに対する刑罰は石打ちであった。[5]

[注:口語訳聖書では、「神を汚す」と翻訳されています]

 

身代わりの、代理の【Vicarious】

1. 他の人の代わりに行う、受ける、あるいは苦しむこと。例:身代わりに受ける罰。

2. 他の人あるいは他のものに取ってかわる。代理として行動する、あるいは役目を果たす。[35]

 

命題的知識(めいだいてきちしき)【Propositional knowledge】

記述的知識(Descriptive knowledge)は、宣言的知識(Declarative knowledge)または命題的知識とも呼ばれる。知識の一種であり、その性質上、宣言的文章や暗示的命題の形で表現される。記述的知識は、一般に「ノウハウ」と呼ばれる手続き的知識(いかにして、特にいかにして最善に、何かを行えば良いかという知識)や「知っていること」(何かの存在についての知識)とは異なる。[30]

 

唯一神教(ゆいいつしんきょう)【Monotheism】

神は唯一であると信じる宗教。[23]

 

陰府、黄泉(よみ)【Sheol】

ヘブル語のシェオルは、旧約聖書において死者の住む場所を指し、英語ではgrave(墓)、hell(地獄)、underland(黄泉)と訳されている。

[注:日本語訳の陰府と黄泉は、キリスト教の教義に限らず、地下にある死者の世界という意味で、どちらも「よみ」と読みます]

 

理神論(りしんろん)【Deism】

創造者としての神の存在は認めるが、宇宙への介入をすることはないと信じること。この用語は主に17-18世紀に起きた思想運動を指し、それは理性としての神の存在は認めつつ、人類と相互関係を持つ超自然的な神であることを拒絶することであった。[11]

 

臨在(りんざい)【presence】

神がその場に臨むこと、いること。

 


[1] Wikipedia. http://en.wikipedia.org/wiki/Age_of_Enlightenment

[2] New Oxford American Dictionary.

[3] John M. Frame, Apologetics to the Glory of God (Phillipsburg: Presbyterian & Reformed Publishing Co, 1994).

[4] Collins English Dictionary: Complete & Unabridged 10th Edition, 2009 (HarperCollins Publishers).

[5] Fausset’s Bible Dictionary (Zondervan, 1969).

[6] Collins English Dictionary: Complete & Unabridged 10th Edition, 2009 (HarperCollins Publishers).

[7] Encarta World English Dictionary © & (P) 1999, 2000 Microsoft Corporation.

[8] New Oxford American Dictionary.

[9] New Oxford American Dictionary.

[10] Collins English Dictionary: Complete & Unabridged 10th Edition, 2009 (HarperCollins Publishers).

[11] New Oxford American Dictionary.

[12] The Random House Dictionary (Random House, Inc. 2011).

[13] New Oxford American Dictionary.

[14] Collins English Dictionary: Complete & Unabridged 10th Edition, 2009 (HarperCollins Publishers).

[15] Collins English Dictionary: Complete & Unabridged 10th Edition, 2009 (HarperCollins Publishers).

[16] New Oxford American Dictionary.

[17] Microsoft Encarta World English Dictionary 2001.

[18] Collins English Dictionary: Complete & Unabridged 10th Edition, 2009 (HarperCollins Publishers).

[19] New Oxford American Dictionary.

[20] Random House Dictionary, © Random House, Inc. 2012. And Collins English Dictionary: Complete & Unabridged 10th Edition, 2009 (HarperCollins Publishers).

[21] The Random House Dictionary, © Random House, Inc. 2011. Phillip Cary, The History of Christian Theology, Lecture Series, Lecture 11. (Chantilly: The Teaching Company, 2008).

[22] New Oxford American Dictionary.

[23] Collins English Dictionary: Complete & Unabridged 10th Edition, 2009 (HarperCollins Publishers).

[24] Collins English Dictionary: Complete & Unabridged 10th Edition, 2009 (HarperCollins Publishers).

[25] Collins English Dictionary: Complete & Unabridged 10th Edition, 2009 (HarperCollins Publishers).

[26] Stanford Encyclopedia of Philosophy, 2011.

[27] Collins English Dictionary: Complete & Unabridged 10th Edition, 2009 (HarperCollins Publishers).

[28] Collins English Dictionary: Complete & Unabridged 10th Edition, 2009 (HarperCollins Publishers).

[29] Webster’s Revised Unabridged Dictionary.

[30] Wikipedia.

[31] The American Heritage New Dictionary of Cultural Literacy, Third Edition, Copyright © 2005 by Houghton Mifflin Company.

[32] New Oxford American Dictionary.

[33] The Random House Dictionary, © Random House, Inc. 2011.

[34] Encyclopedia Britannica.

[35] The Random House Dictionary, © Random House, Inc. 2011.